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ブルターニュ地方の名産品尽くし

フランスに滞在している間、果たして何羽の鴨を食べただろうか――というくらい、フランスでは鴨をよく食べます。脂がこってりした鴨は、日本人であれば塩胡椒、ワサビなどさっぱりした味付けを好むところですが、フランス人は血のソースで食べたり、脂の中でグツグツ煮込んだりと、よりこってりした調理法を選びます。
そんなこってりした味付けの鴨に飽きたなあと思った頃訪れたのが、パリから北西の方向に位置するブルターニュ、ノルマンディー地方(写真右上)です。フランスの中でもケルト民族の習慣が色濃く残り、特異な文化をもつエリアであり、寒すぎてブドウが栽培できない、つまりワインを作れないエリアでもあります。

ブドウの代わりに栽培されているのが、寒冷地に適したリンゴ。そのリンゴから、発泡酒のシードル、蒸留酒のカルヴァドスが作られ、料理とともに饗されるのはもちろん、料理にも使われて、独特の甘酸っぱい風味が楽しめます。
ブルターニュのレストランで出会った鴨の料理も、そんな料理でした。ただし、それは鴨肉ではなく鴨の肝臓(フォアグラ・ド・カナール)を使った料理でしたが、脂の乗った肝臓にリンゴが重ねられ、甘酸っぱいカルヴァドスのソースがかかっていました。ちょっと鴨やフォアグラ料理に辟易していた私でしたが、その一皿はとても新鮮だったのを覚えています。(写真右中央はシードルヴィネガー、右下は料理用のカルヴァドス。小瓶のものなら数百円で買えます)
鴨肉は、オレンジやラズベリーなど、フルーツソースと一緒に食べることも多いのです。こってりとした脂を強い甘味で相殺するわけです。とはいえ、日本人にとっては、より酸味の強いリンゴのほうが、食べやすいような気がします。

フランスで使うバターは、無塩が基本。でも、ブルターニュは質の高い海塩の産地であり、バターも塩味の強いものを使います。鴨に添えるリンゴは、ブルターニュ地方に敬意を表し、有塩バターで。
すると、鴨の脂に適度な酸味、甘味、塩味が加わり、複雑な味わいを楽しむことができるのです。






鴨胸肉(かたまり)350グラム
エシャロット1個 / にんじん 1/4本
たまねぎ1/4個 / にんにく1片
セロリ10センチ / ローリエ1枚
タイム 少々 / パセリ1枝
長ネギ10センチ / バター 30グラム
クレソン2枝 / フォンドボー1カップ
水 1カップ / 白ワイン50cc
りんご1個
グラニュー糖30グラム
シードルビネガー60cc
カルヴァドス40cc
レモン汁小さじ1 / サラダ油少々
トマトケチャップ大さじ1
塩、胡椒 適量


作り方2のフォンドボーは市販の缶詰のものを使いました。
作り方10はフランペという調理法で、
アルコール分の高い酒を調理している素材にかけ、火をつけて燃え上がらせます。
こうすることで素材に味と香り付けをします。
作り方11は、肉をすぐ切らずに5分ぐらい経ってから切ると、
うまみや肉汁が流れ出ません。


鴨肉は独特の風味やうまみなど素材自体に複雑さを持っているので、合わせるワインもスパイスなどの複雑なニュアンスを持った重めの赤ワインとの相性がよいと思います(写真はボルドー地方のメドック地区格付けワイン、「シャトー・ベイシュビェル」です)。今回はボルドーで合わせましたが、コート・デュ・ローヌ地方のワインなどでも合うと思います。
また、今回のような甘いソースに甘口のワインを合わせるという光景をフランスではよく見かけました。ソーテルヌなどの重い甘口の白ワインでもすばらしい相性を見つけることが出来ると思います。


1、鴨肉は形を整えながら50グラム分を切り取る。50グラム分は細切れにし、残りは塩、胡椒をしておく。

2、フォンドボーに1カップ分の水を入れ火にかける。

3、バター10グラムを入れたフライパンで細切れにした鴨肉を強火でいためる。
そこに薄くスライスしたエシャロット、たまねぎ、にんじん、にんにくを入れ たら弱火にし、しっかりといためる。
最後にトマトケチャップを入れて2〜3分いためたら2の中に入れる。

4、フライパンに付いている肉や野菜のうまみを白ワインでこそげ落として、それも長ネギ、パセリ、セロリ、ローリエ、タイムと一緒に2のなかに入れて弱火 で15分ぐらい煮詰める。煮詰めたら漉し器などで漉しておく。

5、りんごはくし型に薄くスライスし、バター20グラムを入れたフライパンで胡椒とともに5分ぐらい炒める。

6、鍋にグラニュー糖と少々の水を入れてカラメルを作る。

7、6にシードルビネガーとレモン汁、4でできたフォン(だし汁)を入れて火にかけたら、アクをとりながら30分ぐらい煮詰める。

8、肉は少量の油を入れたフライパンで表面に軽く焦げ目が付くように炒めた後、180℃のオーブンで20分焼く。

9、7にカルヴァドス20ccを入れて塩、胡椒をして味を調える。

10、8の肉が焼きあがったら、肉の油を拭いてフライパンの中に入れ、
フライパンに火をつけた状態で十分熱した後、カルヴァドス20ccを振りかけて香り 付けをする。

11、肉は5分ぐらい経ってから薄くスライスして、りんごとクレソンとともに盛り付けをし、9のソ−スをかけて出来上がり。
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