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塊のまま焼いて肉汁を閉じ込める

日本ではそれほど食べないのに、フランスに滞在中に「よく食べたなあ」という印象が残っているのは「仔羊」です。安めのレストランから高級なレストランまで、そこのコースメニューのラインナップには、必ずと言っていいほど、仔羊の料理が名を連ねています。フランス人の友人いわく、あの独特のくさみを、フランス人は愛するのだそうです。

驚かされたのは、「ロティスリー(Rotisserie)」に行ったときのこと。このロティスリーをあえて日本語に訳すとしたら、「あぶり焼き屋」か「丸焼き屋」といったところでしょうか。写真のように、市場や街角では、鶏肉をローストするこのような機械を本当によく見かけます。
もちろん、ロティスリーはちゃんと店舗を構えているので趣は違いますが、とにかく、いろんな肉をローストした料理を売り物にしているのです。
このとき選んだお店は、凱旋門から歩いて10分ほどの「Rotisserie d’Armaille(ロティスリー・ダルマイエ)」というお店でした。

そこで、私がオーダーしたのは、「仔羊のロティ(ロースト)」です。まだフランスに渡って間もなく、フランス料理というものをまだまだ理解していなかった私は、骨付きの厚さ5ミリくらいに切った肉が何片か並んでいるような、比較的上品なものを想像していました。
しかし、実際に出てきたのは、10センチ四方の骨付き肉の塊、と表現するのが最も近いでしょう。果たしてこれをどうやって切るべきか、と四苦八苦していたら、給仕がやってきて親切に切り分けてくれたのです。その手際のよさも目を見張るものがありましたが、その切られた肉からじゅっと湧き出るような肉汁に、もう視線はクギ付けです。

同じ肉でも最初から薄切りにしては、こうはいきません。大きな塊のままじっくり焼いて、肉のうまみとを閉じ込める。確かにくさみもあるのですが、スパイスを上手に使えば、フランス人だけでなく日本人も愛する風味に変わるから不思議です。




骨付き子羊背肉ブロック6本分
(約400グラム)
たまねぎ 1/4個 / にんじん 1/4個
にんにく 2個
ベルギーエシャロット 1個
 セロリ 10センチ / 長ネギ 10センチ
フォン・ド・ボー 1カップ
水 1カップ / 赤ワイン 50cc
バター 40グラム
タイム 1枝 / ローリエ 1枚
パセリ 1枝 / パン粉 適量
卵白 1個分 / たけのこ 50グラム
アスパラガス 4本分 / 塩・胡椒 適量


今回使用した骨付きラム肉はニュージーランド産のチルドもので、
スーパーなどでも多く流通しています。
通常、骨付きのラム肉は切り分けた状態で売られていますが、
肉売り場の人に固まりのままほしいといえば、大抵は手に入ると思います。


今回この料理にあわせたのは、ボルドー地方はメドック地区のグラン・クリュ・クラス(この言葉の説明は「今週のワイン物語」へ)のワイン、「シャトー・ピジョン・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド」というワインでした。今回料理で使った子羊の肉は独特のクセや風味を持っています。こうした素材にはワインにもスパイスや複雑な風味を兼ね備えた重めのワインがよく合います。私自身の経験では、羊肉とボルドーワインはとても相性がよいように思います。飲む温度は18度ぐらいがいいでしょう。今の時期は室温が最適です。


1、ブロック肉の骨の周りに付いた、すじ肉などを取り除いてきれいに形を整える。
また、骨の長さがばらばらであれば、長さを同じくする。取り除いた肉や骨などは捨てずに取っておく。

2、フォン・ド・ボーを1カップの水で薄め、火にかけておく。

3、フライパンにバター10グラムをいれ、取り除いた細切れの肉を強火でいためる。
そこに、薄くスライスしたにんじん、たまねぎ、エシャロット、にんにくを入れて弱火でしっかりといためる。
全ての材料を2に入れる。

4、フライパンは洗わずに50ccの赤ワインを注ぎ、フライパンに残ったうまみをこそげ落とし、
長ネギ、セロリ、タイム、ローリエとともに2に入れる。あくを取りながら弱火で2時間ほど煮る。

5、パン粉とみじん切りにしたパセリ、みじん切りにしたにんにくを混ぜてペルシャ−ドを作る。

6、1で整えておいた肉は軽く塩・胡椒して、バター10グラムを入れたフライパンで表面がこげる程度に両面を焼く。
その後はけなどで肉の表面に卵白を塗る。その上に5で作ったペルシャードをすりこむ。肉は200℃のオーブンで15分焼く。

7、4が煮詰まってきたら、漉し器などで漉して再び火にかける。そこでパター10グラムを入れて塩・胡椒で味を調えておく。

8、肉が焼けたら骨ごとに肉を切り分け、7のソースをかける。
添え物としてくし型のたけのことアスパラガスのバターソテーを添えて出来上がり。
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