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豚とハチミツの甘みを楽しめる料理 |
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「フランスにしばらく滞在していました」と話したとき、比較的高い割合で「フランス人はお高くとまってて大変だったでしょ」と言う人がいます。実際には、そんなことはありませんでした。 今回の料理のように、豚肉をハチミツで味付けた料理は、カフェでよく見かける料理です。パリのカフェは、右の写真のように、メニューが常に外に出ており、Plats(メイン料理という意味です)のところに、Porc(豚肉)、Miel(ハチミツ)とあれば、だいたい上の写真のような料理が出てきます。 話をもとに戻すと、あるカフェで私がこの料理を食べていたら、となりの席で食事をしていた老夫婦が「私たちはもう食べ終わってしまったからどうぞ」と、半分以上残っていたエビアンをくださったのでした。 こうした話は枚挙に暇がないのですが、豚とハチミツの料理を食べるたびに、あの老夫婦の優しい笑顔を思い出して、暖かい気持ちになるのです。 とはいえ、パリで生活していた頃、家で豚とハチミツの料理を度々作ったのは、「暖かい気持ちになりたい」という悠長な理由ではありません。 フランスでは豚肉がとてもとても安く、もともと牛肉も安いのですが、さらにその半額も出せば買える、貧乏学生にはとてもありがたい食材だったのです。 フランス人は豚の生肉を料理にあまり使いません。豚肉はベーコンやソーセージ、ハムなど、加工品として食されることが多いのです。豚肉が安いのは、たぶんそんな理由でしょう。 これは私に言わせればとてももったいないことで、フランスの豚肉は安いのに味が濃くてとにかくうまい。また、ハチミツも種類が豊富で安く、アカシア、レンゲなど「製造元」はもちろんのこと、フルーツ漬けなどもあり、ハチミツの棚を見るのも一つの楽しみだったのです(写真右下)。 このようなすばらしい「貧乏料理」だったのですが、難点は豚肉が日本のように薄切りではなく塊で売られていることです。しかし、それもまた一興。少し厚切りにしてハチミツとともに焼き、よく噛んで食べると、最初はハチミツの甘味が口に広がり、それが一段落したころ、今度は豚肉のうま味がじわっと口の中を満たす。そんな「ニ度口を楽しませる料理」なのです。 |
豚・骨付きスペアリブ 400グラム(8本)
にんにく 1片 ベルギーエシャロット 1個 フォンドボー 200cc 赤ワイン 50cc バター 30グラム はちみつ 小さじ2 じゃがいも 大2 生クリーム 30cc クレソン 1束 塩・胡椒 適量 |
フォンドボーは市販の缶詰のものを使いました。 ソースにとろみが付かないようであれば、 コーンスターチでとろみを付けてもいいでしょう。 |
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今回はスペアリブのような脂身の多い肉に、ちょっと甘みの感じる重めのソースであるので、合わせるワインもしっかりとしたつくりの重めの赤ワインとの相性がよいと思います。 今回はシャトーヌフ・ド・パプというコート・デュ・ローヌのワインとあわせましたが、ボルドーやラングドック地方のワインでも合うと思います。 |
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1、豚スペアリブは塩・胡椒をして下味を付けておく。 2、にんにくとベルギーエシャロットはみじん切りにし、バター20グラムを入れたフライパンで弱火でしっかりと炒める。 3、2にフォンドボーを入れ、弱火で半量になるくらいまで煮詰める。 4、バター10グラムを入れた別のフライパンで、両面に焦げ目が付くまで豚スペアリブを炒める。 5、肉に火が通ったら、取り出して2に入れる。肉を取り出したフライパンに赤ワイン50ccをいれ、 フライパンに付いた旨みをこそげ落とし、これも2のフライパンに入れる。 6、ここで火を弱めて2〜3分火を通す。そこに、はちみつ小さじ2を入れてさらに5分ほど煮込んだ後、塩・胡椒で味を調える。 7、付け合せに、ゆでたじゃがいもをつぶして、生クリームを加え、塩・胡椒で味を調えてマッシュポテトを作る。 8、皿にマッシュポテトとクレソン、肉を盛り付け、最後にソースをかけて出来上がり。 |
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