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ワインを「楽しむ」ための初歩講座4は、家でワインを楽しむと き、
よりおいしく飲むための「ルール」のようなものをご紹介します。
保存の仕方、グラスなどに気を使えば、
それぞれのワインが持つポテンシャルを最大限に引き出せます。 
ワ インは飲む直前までの配慮が大切
いよいよワインを買ってきました。何度も言いますが、ワインは 本当にデリケートな飲み物です。実際に、暑い中持ち歩いて、ワインを劣化させてしまった経験が私にもあるのです。ですから、保存や抜栓、飲む温度に気を使 わなければ、せっかくのワインが台無しになってしまうこともあるのです。

また、ワイングラスも、できるだけワインに合った形のものを選びたいものです。そうした気遣いの一つひとつが、ワインを飲む雰囲気を演出し、ワインをより おいしいものに高めていくのです。
POINT1: ワインの持ち運び、保存はどうする?
持ち帰るときにも細心の注意を

完全な状態で保存されたワインであれば、飲む直前までいい状態にしておきたいですよね。特に夏場は要注意です。炎天下の中、バックに入れたまま長時間持ち 歩いたり、車の中に置きっぱなしにしておいたら、すぐにワインは吹きこぼれてしまいます。あらかじめそうした状況が想定されるなら、アイスバッグや保冷剤 などを持って出かけましょう。

家では直射日光に気をつける

30本入りのワインセラー。この大きさがあれば、ちょっとワインを買い過ぎても大丈夫です。
ワインの理想的な保管場所として一般的に湿度が70%ぐらいで、温度は14度ぐらい、直射日光や紫外線が当たらない、しかも振動がない場所というのが理想 的とされています。

とはいえ、長期保存するならともかく、買ってから数日で飲んでしまうのであれば、家の中でも暖房設備の前などは避け、日陰の直射日光が当たらない場所であ れば、そんなに神経質になる必要はないと思います。ただし、夏場で室温が30度くらいになってしまうところでは注意が必要です。夏を越して、長期保存をす る場合には、やはりワインセラーの購入をお勧めします。

ワインセラーもずいぶん種類があり、かつては数十万円するものばかりでしたが、今ではワインの普及に伴って、小さなサイズの安価なものが登場しました。1 本用で2万円ぐらい、6本用で3万円〜4万円くらい、30本用でも20万円くらいのものが流通しています。業務用とは異なり、インテリアとして置いておけ るような、デザイン性の高いものもずいぶん目にするようになりました。

POINT2: ワインを飲む温度の「常識」は「非常識」?
赤は室温よりやや低めで

「赤ワインは室温で」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、それはあくまでもワインの生産国であるヨーロッパでのことです。たとえばパリの緯 度は日本で言えば北海道と同じぐらい。石造りの建物がほとんどなので、室内はそれほど温かくなることはなく、年間を通じて16度から18度ぐらいの気温に 保たれているのが普通でした(温暖化の影響で、これも変わってきましたが……)。一方、日本では室温は夏は言うまでもなく、冬も暖房によって20度を越し ているところがほとんどだと思います。

ですから、日本に限っていえば、「室温」だと温かすぎることもあります。室温よりやや低めぐらいの温度設定にして飲むのがいいでしょう。冬に暖房がない部 屋で保存しておく以外なら、飲む前に、20分程度、冷蔵庫で冷やすといいと思います。とはいえ、冷蔵庫であまり冷やしすぎると渋めが際立ってくるので要注 意です。

例外もあります。ボージョレ地方の軽めの赤ワインのように、冷蔵庫で1時間くらい冷やし、12度くらいまで飲んでもよりおいしく飲めるものもあります。

白は氷水で冷やして温度調節する

白ワインは赤ワインよりも長めに冷やして飲むことをお勧めします。赤ワインと比較すると、温度による影響が強く、飲んだときの印象が変わってきます。ロ ワール地方など、酸味の強いフレッシュな印象のワインは5度から12度ぐらい、ブルゴーニュなどしっかりしたタイプのワインは10度から18度ぐらいの目 安で温度を調節しましょう。

私自身は、しっかり冷やしたいときは2時間前くらいから冷蔵庫で、10度から15度くらいの微妙な温度なら、ワインクーラーで10分から30分冷やしま す。ワインクーラーを使う場合、たっぷりの氷と水を入れて温度を下げていきます。

温度によって香りが出てこなかったり、酸味が強すぎたりとワインの適温は難しいので、食卓に必ずワインクーラーを置き、「もう少し温度が低いほうがおいし かったな」と思ったらワインを冷やし直すなど、微妙に温度調節をしながら飲んでいます。冷えすぎて香りがわからない場合などは、手のひらでグラスを包み、 少し温めることもあります。飲みながら試行錯誤し、もっともおいしいポイントを見極めるのも、またワインの楽しみの一つなのです。

ワインクーラーが家にない場合は、ボトルが首の部分ぐらいまでにつかるボールや桶などで代用してもいいですが、食卓の上に置き、温度調節もできるので、ぜ ひ一つ買いたいものです。安いものなら、1000円台から売っています。ちなみに、ワインクーラーで冷やした場合、3分ごとに2度ぐらい温度が下がると言 われています。あくまで目安ですが、室温が24度くらいの部屋に置いておいたならば、10度まで下げるには20分強かかることになります。

ボトルの口から刺して使用します。
もっと正確に温度を計りたいなら、右の写真のようなワイン用の温度計も販売されています。1000円台〜3000円程度で購入できます。
POINT3: ワインはワイングラスで飲むべき
口のすぼまったグラスで香りをためて飲む

グラスについては、やはりワイン用のグラスで飲むことをお勧めします。
写真のように、ピノ・ノワール用、カベルネ・ソーヴィニヨン用、シャンパーニュ用などさまざまあります。

ピノ・ノワール用


カベルネ・ソーヴィニヨン用


シャンパーニュ用


こんなグラスは避けましょう!


酸味の強さやタンニンの強さなどによって、それぞれに適した形のグラスがあるのです。

しかし、家庭でそんなにたくさんの種類のワイングラスを揃えるのは大変ですよね。1種類だけ購入するなら、大きく、口のすぼまったグラスがお勧めです。上 記の写真で言えば、カベルネ・ソーヴィニヨン用が最も近いでしょう。

グラスの口がすぼまっていれば、香りを逃すことがありません。そしてグラスの内部に大きなスペースがあれば、かおりが拡散し、ワインが持つさまざまな香り を感じることができます。この複雑さを感じられるかどうかで、ワインの味わいは大きく変わってきます。
写真の4番目のような形状があまり望ましくないのは、香りを逃がしてしまうから。よくある「カフェグラス」タイプのワイングラスは、ワインと相性がよくない場合が多いのです。

値段はクリスタルの含有量やデザインなどで高価なものもありますが(ちなみにクリスタルの含量が高いものは、輝きが違うのと、丈夫なことが特徴です)、安 くても大ぶりのものであれば問題ありません。

また、ワインはデリケートです。グラスに食器戸棚の木の香りがついていたり、カルキ臭の強い水滴がついていたりしたら、そのワインが持つ本来の味わいを感 じられないこともありますから、注意してください。
POINT4: ワインの開け方、開けるタイミング
古い赤ワインは、購入してから2週間は飲ま ない

古い赤ワインには、「おり(滓)」といわれる酵母の残りが混ざっていることがあります。これは、熟成によって出る「カス」のようなものですから、危険なも のではないのですが、ワインを濁らせ、舌にざらざらとした感触を残すことがあります。

ブルゴーニュにあるワインショップで、「赤ワインは旅をさせてはいけない」と言われました。旅をさせたら、2週間は飲まない。静かな場所で瓶を立て、混 ざった滓を沈めるまで飲んではいけないのです。少なくとも10年経った赤ワインを飲むなら、飲みたい日の2週間前に購入するようにしましょう。

栓抜きは自分で抜きやすいものを見つける

ソムリエナイフ。コツをつかめば、それほど扱いは難しくありません。
誰にでも力を加えず、簡単にコルクが抜けます。
コルクの栓を抜くのは、慣れていなければ難しいものです。栓を抜く道具も、プロが使うソムリエナイフ(写真右上)、歯車の取っ手が付いているもの(写真右 下) などさまざまなものがあります。

どれを選ぶかは自分で抜きやすいものを見つけることが一番ですが、比較的失敗をせずに初心者の方でもできるのは歯車の取っ手のついたものでしょう。

上手に開けるポイントはコルクに垂直に立てることと深く差し込むことです。特に少し古い赤ワインの場合、「おり(滓)」がありますから、開けるときに乱暴 に振り回すと、せっかく沈んでいた「おり」が再び混ざってしまいます。引っ張ったりせずに、静かに開けられるものを見つけましょう。

ワインの飲み頃はどう見極める?

長い年月を経てまろやかな風味や古さ独特の香りが出てきて、年を重ねたほうがよりおいしさを味わうことができるワインがあることも事実です。しかし、これ は、長期熟成を前提に造られたワインのみです。多くのワインは、若いうちに飲んだほうがおいしいことは、前に書いた通りです。では、どうやって飲みごろを 特定するのでしょうか?

その答えは、「難しい」という言葉に尽きます。同じ品種のワインでも、醸造方法によっても飲み頃には違いがあるからです。たとえ「飲み頃」がある程度分 かっていても、ワインをセラーのない家などで長期保存するのは、ワインを劣化させるもとになります。

味覚は飲む人の数だけ違いや好みがあるので、最初はヴィンテージ(生産年)や飲み頃をあまり気にしないほうがいいかもしれません。また、やはりワインの品 種から醸造方法まで熟知したショップのスタッフに「飲みごろですか?」と聞くのもいいでしょう。

ちなみに、長期熟成に耐えるワインの、あくまで一般的な「セオリー」を書いておきましょう。
・タンニンがしっかりしている
・酸味がしっかりしている
例外もありますが、この2つの条件がそろっていないワインは、長期熟成には適さないと考えていいと思います。

POINT5: 余ったワインは次の日も飲める
ストッパーを用意して保存しよう

ワイン用ストッパー(写真左)、スパークリング・ワイン用ストッパー(写真右)
特に赤ワインは、空気に触れることで熟成するので、翌日、翌々日でもまた違った味わいが楽しめます。ですから、余ったからといって、すぐに捨ててしまうの はもったいないです。

とはいえ、ボトルを開けたままにしておくのは、ホコリが入ったり、必要以上に酸素に触れすぎたりと問題が多いものです。そんなとき、便利なのがストッパー です。ストッパーで栓をしておくことで、適度に酸素に触れ、熟成感を楽しめます。

スパークリング・ワインは、もっと密閉性の高いストッパーがあります。スパークリングの気が抜けてしまったら、それは味気ないものです。翌日ではなくて も、時間をかけて飲む場合には、ぜひストッパーで口をふさぎ、炭酸を長く保ちたいですね。

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